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ボイストレーニング 第一回目

●「腹式呼吸」で歌うとはどういうことか?

 
歌のうまい人から「腹で支えて歌うんだよ」、とか「お腹を硬くして歌うんだよ」、とか、
過去に耳にして一応はやってみたものの、結局その意味がつかめずほったらかしになったまま
現在に至る歌い手は、案外多いのではないでしょうか。

ということで、これからわかりやすく「腹式呼吸で歌う」とはどういうことか説明いたします。

 
 始めに、
生命活動をする為には「肺で呼吸」(空気中の酸素を取り込み二酸化炭素をだす)をせねばなりません。
そしてその動作を行う肺呼吸をする生物ほぼ全てには、「横隔膜」という意識的に動かす事の出来る筋肉
が備わっています。

 その横隔膜は身体の中のどこにあるかというと、「並列する肺の下部」に張り付くように存在しています。
そしてそれは、その下に位置する他の重量のある臓器(消化器官等)を分け隔てるようにし、
お椀を伏せたような形で厚みのある膜のようになって配置されています。

 重要なのは、この横隔膜という筋肉の動作は、「呼吸時に肺を圧縮したり拡張する」ことです。(=つぶしたり膨らませたり)
動作の具体例として、自転車の空気入れや注射器等のポンプ類の動作をイメージすると良いでしょう。


◎重要1「呼気」> 膨らんだ肺(=空気の溜まったエアータンク)が、横隔膜の突き上げるような動作で
圧縮(つぶされ)ていくと、出入口である口や鼻から空気が吐き出されていきます。
これが呼吸の「呼気」(=歌う時)の動作。

◎重要2「吸気」> つぶされた肺は、横隔膜が元の位置に戻ろうとする動作によって拡張(注射器のピストンを引く動作)
されていくと、出入口である口や鼻から空気が流入していきます。
これが呼吸の「吸気」(=ブレス)の動作。


 ようするに、ヒトが普段、無意識に行っている呼吸そのものなのですが、
しかし本題の「腹式呼吸で歌う(=息を吐く=呼気)」をする時、

実は、横隔膜とは別の「ある筋肉」も同時に動作する必要があります。


◎重要3「土台」>それは、「意識的に 腹筋・背筋を硬く締める事」です。

 それがなぜ必要かというと、くしゃみや、咳、悲鳴、を例にとると分かるでしょう。
 それらを「した時」を思い出してください。
これらの動作がされるときは必ず、腹筋群(腹直筋や腹横筋等)や背筋群が無意識かつ一時的に「硬く締まる」状態に
なります。これは、危険が迫ったときなど本能的に、身体の潜在能力をフルに引き出すために行われる「防衛反射」という
ものの一環で、転びそうになったときに自然と手が出て、かばう動きなどと基本的には同じものです。
 
さて、横隔膜の下に位置する、内臓は柔らかく重量もあり空洞や脂肪もあります。「土台がふにゃふにゃ」の状態。
このままだと、横隔膜が充分な瞬発力を発揮できないため、膨らんだ肺をきちんと圧縮出来ず、吐く息に勢いが無く
結果弱々しい細い声になり、不合格です。

しかし、その不合格の土台を「合格」に変えるのが、「腹筋・背筋を硬く締める事」です。
どういう事かというと、たとえば、泥の「ぬかるみ」全体を頑丈な容器や袋で包んで覆ってしまえば「硬い土台」として
機能することができるというものです。
またこの防衛反射、くしゃみの呼気の出る速度が実に時速300km以上に達する(新幹線!)ことが実際の計測によっても
分かっていますので、ヒトがこれほどの潜在能力をもちあわせているのであれば、「意識的に 腹筋・背筋を硬く締める事」を行って
「腹式呼吸で歌う(=息を吐く=呼気)」にこの「「防衛反射」の一環を取り入れることが推奨されているのです。


また、上記までの「呼気」(=歌う・話す事によって出て行く空気)とは逆に「吸気」(=ブレス)の動作の時に、
直前の「呼気」以上の量の空気を必要以上にいっぱいに吸いすぎてしまわないことです。
いっぱいに吸うと、横隔膜が元の位置(ニュートラルポジション)よりも必要以上に下がってしまい、
横隔膜の動きが緩慢になり遅延し、充分な速度やレスポンス(反応)を得られません。そればかりか、これを連続すると
歌唱中の空気の出入りのバランスに狂いが生じて、過呼吸に似た苦しさに襲われ、酸欠のような立ちくらみもするはずです。
 ですから歌い出す(=呼気)の前に「必要以上にいっぱいに空気を吸ってはならない(小さくブレスしましょう)」ということを
覚えておいてください。
 後の、「効果的なブレス」や「効果的な呼気(吐き方)の項でも説明します。



(まとめ)

腹式呼吸で歌う、ということは、
まさにヒトの歌を、
動物の嘶き、鳥の囀りのように
本能的に(官能的にも)するために、
元々備わっている本能を
極力意識的に利用して、
潜在能力を引き出すことを目的
にしているかのようです。
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